東西で大本命馬が不発・・・CBC賞&ラジオNIKKEI賞

夏競馬2日目の7月2日の開催は、回復傾向の天候とは裏腹に各場とも波乱を呼ぶ結果となった。

函館滞在でも中1週では結果が出せず

函館開催では、単勝1倍台の人気馬が出走したレースは3鞍あったがいずれも連勝にはからめず、5Rの新馬戦は5頭立てだったので結局3鞍共に複勝にも入賞できなかった。

新馬戦を除き、2鞍はいずれも中1週のローテーションで上積みがなかったことが敗因の1つと考えられる。
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【2回函館2日1R 2歳未勝利】アンバーニードル 1.5倍 4着
[中1週] 発馬五分から番手につけるも直線で伸びず、後続馬に交わされて4着。
【2回函館2日5R 2歳新馬】リヤンイヴェール 1.9倍 3着
[初騎乗][初コース][初回り] 好発進でかかり気味に先行、番手につけるも直線の叩き合いで後れを取る。
【2回函館2日12R 3歳1勝クラス】ノースディーバ 1.7倍 6着
[中1週] 出負けして押して3番手に付ける。4角で先頭に並びかけるも、直線バテて6着。

初見では難しい?特徴ある福島コース

福島開催では、6鞍あった単勝1倍台の人気馬は2勝で勝率は33.3%にとどまった。6鞍全てが、初コースかつ初騎乗または乗替りだったことが注目される。

メインのラジオNIKKEI賞では、末脚に定評のあったレーベンスティールが足を余して負けるたように福島コースの難しさがクローズアップされた一日だった。
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【2回福島2日1R 2歳未勝利】ピースヒロフェイス 1.7倍 4着
[初コース][初回り][初騎乗][乗替] 発馬五分で後方につける。4角で追い上げるも、先行する3頭を抜けずに4着。
【2回福島2日2R 3歳未勝利】フライウィズミー 1.5倍 4着
[初コース][初騎乗][乗替][中1週] 好発進で中団につける。4角で追い上げるも、先行馬には届かず4着。
【2回福島2日6R 2歳新馬】ビッグドリーム 1.4倍 1着
[初コース][初回り][初騎乗] 大外から好ダッシュで3番手につける。3角で先頭に並びかけ、直線引き離す。
【2回福島2日8R 3歳1勝クラス】フラッパールック 1.8倍 2着
[初コース][初騎乗][乗替][休養明け][馬体重-8Kg] 好発進で番手につける。3角で先頭に立つも、直線で勝馬に並ばれ、最後に交わされる。
【2回福島2日9R さくらんぼ特別】ドンアミティエ 1.7倍 1着
[初コース][初騎乗][乗替][昇級] 大外から好発進で番手につける。3角で先頭に並びかけ、直線で競り合いを制し辛勝。
【2回福島2日11R ラジオNIKKEI賞】レーベンスティール 1.9倍 3着
[初コース][乗替][昇級] 発馬五分で後方を進む。4角では外が空かず、内を突くも馬群を捌ききれず足を余して3着。

斤量が応えた?マッドクールの敗戦

中京競馬場では、秋が楽しみな素質馬サスツルギが人気に応えて快勝したが、メインのCBC賞では坂井瑠星騎乗のマッドクールは良いところ無く惨敗し、3連単は約5千倍の波乱となった。

相手関係から押し出された1番人気だったが、初の58.5Kgと調整過程にやや問題があった可能性が高い。昨日まで26連敗中の坂井瑠星騎手はメインまでに4勝し、復調を見せていたが大舞台での復活はならなかった。
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【3回中京2日9R 木曽川特別】サスツルギ 1.8倍 1着
[昇級][初騎乗][乗換][初コース][休養明け] やや出負けして後方から内枠沿いを追走、徐々に外に出し直線では外から先行馬を交わし楽勝。
【3回中京2日11R CBC賞】マッドクール 1.8倍 9着
[乗換][休養明け][斤量増] 好発進で好位に付けるも、直線で徐々に後退し9着に終わる。

CBC賞のマッドクールは消し?坂井瑠星の憂鬱・・・

波乱の中京競馬
夏競馬初日は、7月1日福島、中京および函館の3場で開催された。梅雨時の微妙な馬場状態のなか、函館開催は比較的平穏な結果に終わったが、中京と福島はそれぞれ異なった荒れ方をした。
中京では単勝1番人気馬のオッズが1倍台のレースが3鞍あったがいずれも連を外し、一方福島では、3鞍で単勝20倍以上の低人気馬が激走し勝利を得た。

7月1日の単勝1倍台の本命馬成績
福島開催では単勝1倍台をつけた馬はいなかったが、中京で3鞍、函館で2鞍あり、函館の2鞍はいずれも勝利し、中京では全敗するという対照的な結果となった。

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【3回中京1日2R 3歳未勝利】アウロス 1.9倍 3着
[前走2着][初騎乗][乗換][不良馬場][初コース][初回り] 好発から番手、直線で抜け出すも2頭に差され3着。
【3回中京1日8R 3歳1勝クラス】グラングスト 1.9倍 4着
[昇級][不良馬場] 若干出負けし、先行勢の後ろにつける。直線追い出すも伸びず4着。
【3回中京1日9R 御在所特別】ドナウパール 1.9倍 4着
[前走2着][初コース][初回り] 発馬五分から、中団につける。直線じりじり伸びるも4着。
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【2回函館1日5R 2歳新馬】ルージュレベッカ 1.5倍 1着
[初騎乗][初コース][初回り] 発馬五分から逃げ、直線で粘り込み、辛勝。
【2回函館1日11R TVh杯】モリノドリーム 1.9倍 1着
[昇級] やや出負けし、後方から追走。4角で大外を回り追い上げ、直線突き抜け快勝。
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坂井瑠星の憂鬱

中京の3鞍の内、2鞍に騎乗していたのが坂井瑠星騎手だった。若手のホープと目されている同騎手は、近年騎乗技術の向上も著しく、それに見合った結果も残している実力派である。8Rと9Rで1.9倍の本命馬に騎乗したが、いずれも中団に付けて直線勝負に賭けたが4着という同じパターンでの敗戦となった。この日の坂井瑠星騎手の騎乗馬は、他にも2鞍で1番人気に推されたが2着と4着で、結果として騎乗した1番人気馬が4鞍中3鞍で馬券対象から外れるという憂鬱な結果となってしまった。
結局この日は未勝利で、6月24日の3回阪神7日1Rで勝利して以来、26戦勝星から遠ざかっている。

CBC賞のマッドクールは消しか?

そんな坂井瑠星騎手が7月2日の3回中京2日のメインCBC賞でマッドクールに騎乗する。単勝は前売り段階で2.2倍とダントツの1番人気に推されている。この日は、ほかにも4Rインクルードダイヤ、5Rルージュスタニング、10Rシェットランドと3鞍で前売り1番人気に推されている。それ以外のレースでも上位人気馬に騎乗予定の坂井瑠星騎手、メインレース前に憂鬱を打ち払う勝利を得られるのか?興味は尽きない。

ウインバリアシオン再び!

メイショウハリオ帝王賞連覇

第46回帝王賞は6月28日に大井競馬場で行われ、JRA所属メイショウハリオが前走かしわ記念に続き連勝し、帝王賞は史上初の連覇となった。1番人気のテ-オーケインズは3着に敗れた。

上位入賞馬が華やかなスポットライトを浴びる一方で、地味な頑張りを見せた馬がいた。ブービーで入着したドスハーツである。

何故ドスハーツ?

2年前にJRAの3勝クラスを勝ち上がった同馬は、オープンクラスでは名古屋グランプリの5着が最高着順で、1年前に南関東に移籍になった。移籍後もA2クラスで2着を2回記録していたが、果敢にもJpnI挑戦を試み、昨年末の東京大賞典11着(14頭)に続き、帝王賞でも11着(12頭)とオープン未勝利の身としては十分な健闘を見せた。

とはいえ、一線級とは実力差が歴然な同馬に何故注目するかと言えば、その血統である。父馬ウインバリアシオンは、青葉賞日経賞を勝ち、ダービー、菊花賞有馬記念天皇賞春で2着するなど、GIこそ勝てなかったがハーツクライのスタミナを受け継いだ一流馬である。

ウインバリアシオンとオルフェーブル
4回のGI2着の内3回がオルフェーブルに負けたものであり、ウインバリアシオン陣営としては歴代屈指の名馬と同世代に生まれた不運を嘆くしかない。もう一つの2着は2014年の春の天皇賞フェノーメノにクビ差届かなかったもので、キズナゴールドシップには先着しており、これはなんとか勝たせてやりたかったと嘆くファンも多いだろう。

種牡馬ウインバリアシオン

そんなウインバリアシオン種牡馬になり、これまで産駒35頭がJRAに登録されている。なかでも初年度産駒のドスハーツはダートで4勝を挙げ、ウインバリアシオン産駒の出世頭となっている。その他の産駒では、カミノホウオー2勝、バリコノユメ1勝、オタクインパクト地方3勝、メイクマイデイ1勝など4頭が勝ち上がっている。
種付け頭数も2017年の51頭をピークに2022年は29頭と漸減傾向となっている。ステイヤーよりのハーツクライ産駒としては、シュバルグランの産駒がデビューし始めたが、実績ではウインバリアシオンも引けを取らないので今後の産駒の活躍に期待したい。

行けるぞケイタ!

平穏な日曜日

宝塚記念に出走するイクイノックスに騎乗するクリストフ・ルメール騎手が阪神競馬場に去り、空き巣となった東京競馬場ではベテランと新鋭の熾烈な争いが繰り広げられていた。

1R、4R、7Rを戸崎圭太騎手が制し、前日悲願を達成した三浦皇成騎手もメインのパラダイスSを勝ち1001勝目とした。さらには大ベテラン江田照男騎手も先週に引き続き勝ち星を挙げ、大野拓哉騎手も4月9日以来の1日2勝を達成する一方、若手の斎藤新騎手も10Rと12Rを勝ち2勝を挙げるなど、勝ち星の偏りはあったものの、この日の府中は大荒れになった新馬戦を除いて、概ね平穏な空気が支配していた。

それでも勝てないことがある!?

そんな日曜日の「黒歴史ファイル2023/6/25」は以下の通りである。

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【1回函館6日2R 3歳未勝利】パラディ 1.2倍 2着
[前走2着][初騎乗][乗換][休養明け2戦目] 好発から3番手、4角で先頭粘り込むも勝馬に差され、2着。前走より1秒ほどタイムが悪く、いわゆる2走ボケか?
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【3回東京8日1R 2歳未勝利】コラソンビート 1.7倍 1着
[前走2着][初騎乗][乗換][戸崎] 出負けしたが強気に逃げて楽勝。
【3回東京8日4R 3歳未勝利】リベイラパレス 1.9倍 1着
[初騎乗][乗換][馬体重-10Kg][戸崎] 互角に出て1角で強引に番手を取る。直線ふらつくも辛勝。
【3回東京8日6R 3歳未勝利】マンダリンボレロ 1.9倍 1着
[前走2着] 好発進で楽に番手に収まる。直線持ったままで楽勝。良馬場で力の違いを見せた。
【3回東京8日7R 3歳1勝クラス】ブレイディヴェーグ 1.4倍 1着
[昇級][初騎乗][乗換][戸崎] 出負けして後方から。坂上で突き放し楽勝。勝ちタイムも速く、良馬場でスピードの違いを見せた。
【3回東京8日9R 八ヶ岳特別】マラキナイア 1.7倍 2着
[休養明け][昇級][初騎乗][乗換][戸崎] 好発で先頭集団につけるも抑えて好位の後ろに。直線は前が壁で追いづらく、坂上から伸びたが内ラチ沿いの逃げ馬を捉えきれず2着。
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【3回阪神8日6R 3歳1勝クラス】ウィングヘヴン 1.6倍 10着
[休養明け][馬体重+20Kg][前走2着] 出負けして後方から追走。3角で鞭が入り、そのまま伸びず大差負け。仕上がり途上。
【3回阪神8日11R 宝塚記念】イクイノックス 1.3倍 1着
[休養明け][ルメール] 発馬でつまずき後方から。3角から大外を通り差し切る。発馬のつまずきとコース取りで危うかったが2着馬の不利もあり辛勝。

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惜しくも2着

函館と阪神では、ルメール様を除いて単勝1倍台の馬が勝てず、阪神6Rなどは最下位入線という大惨事が出来した。一方、東京競馬場では単勝1倍台の大本命馬は5戦4勝を記録し、なかでも戸崎圭太騎手は3勝して、最後の八ヶ岳特別も惜しくも2着と希に見る好成績を達成した。

そこで、前日のクリストフ・ルメール騎手と同様に単勝1倍台の大本命馬騎乗時の戸崎圭太騎手の成績も調べてみることにした。

大本命馬騎乗時の成績

2005年の初騎乗以来、通算では490戦229勝で勝率46.7%、単勝回収率75.9%だった。ルメール騎手にはわずかに及ばないが立派な成績だ。通年騎乗するようになった2013年以降の成績を以下のグラフに示す。

戸崎圭太騎手・単勝1倍台時の成績(2013年~2023年6月末)

なぜか年ごとに波があり、昨年がピークのようにも見えるが、日曜日の3勝で今年の成績も6月末現在、22戦11勝で勝率50%、単勝回収率80.5%まで押し上げているので年後半に期待したい。

福島、新潟を得意にしている戸崎圭太騎手なので、夏競馬では更なる飛躍が約束されているのではないだろうか?

クリストフ、おまえだけが・・・

堅くなかった土曜競馬

何故か梅雨入りした途端、週末に降らなくなった日本列島。上半期最終週も東京と阪神の芝は良馬場で行われた。そんな週末の土曜競馬は堅く収まるかと思いきや、複勝も外す単勝1倍台の大本命馬が続出。
函館(3戦1勝)、東京(4戦3勝)、阪神(3戦1勝)で合計10戦5勝という成績は、単勝平均オッズが1.5倍強なので特に悪いというわけでもないが、買っている身としてはやりきれないのではないだろうか?

2023年6月24日の大本命馬成績

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【1回函館5日2R 3歳未勝利】ポルトドール 1.4倍 2着
[初騎乗][乗換][不良馬場] 好発から番手、3角で先頭粘り込むも勝馬に差され、2着。
【1回函館5日5R 2歳新馬タヤスロンドン 1.7倍 1着
少頭数で先行し、楽勝。
【1回函館5日9R 恵山特別】エンデミズム 1.5倍 3着
[昇級][乗換] 好発から3番手追走も、先に行く2頭を捉えきれずに3着。
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【3回東京7日4R 3歳未勝利】コントラポスト 1.7倍 1着
[前走2着] 中団前につけ、坂上から抜け出し楽勝。前走より時計ひとつ悪いが、相手に恵まれた。
【3回東京7日5R 3歳未勝利】ルージュスエルテ 1.4倍 7着
[初出走] 発馬互角も折り合い欠いて徐々に後退、直線も伸びずに大敗。
【3回東京7日6R 2歳新馬アスコリピチェーノ 1.7倍 1着
[初出走][ルメール] ダッシュ鈍く中団から追走も直線坂上から他馬を突き放す。力上位。
【3回東京7日11R 江の島ステークス】ドゥラドーレス 1.9倍 1着
[休養明け][馬体重+12Kg][乗換][ルメール] 後方から内目を進み、そのまま直線で馬群を縫って坂上で抜け出し快勝。騎手の技量が大きい。
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【3回阪神7日1R 2歳未勝利】ナムラエイハブ 1.8倍 4着
[前走2着] 大外好発から外目を番手で追走、直線では逃げ馬に千切られる。自分の時計だけは走っているが、勝馬とは1秒以上の差でスピード不足。
【3回阪神7日7R 3歳1勝クラス】コパノパサディナ 1.8倍 1着
[前走2着][乗換] 大外好発から3角では番手。直線で抜けだし、楽勝。
【3回阪神7日8R 3歳1勝クラス】コンクシェル 1.5倍 4着
[前走2着][ブリンカ脱] 好発から好位につけるも3角では手が動き出し、ゴール前だけ少し伸びるも万事休す。ブリンカーを外したことが裏目に出たか?
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頼りになるのは・・・

そうした状況で孤軍奮闘していたのが、クリストフ・ルメール騎手だ。東京の3勝のうち2勝はルメール騎手が挙げたもの。やっぱり、頼りになるのはクリストフ!
というわけで、クリストフ・ルメール騎手の全キャリアでの単勝1倍台の成績を調べてみた。

2002年の初騎乗以来、通算では1011戦498勝で勝率49.3%、単勝回収率77.8%だ。近年では常に人気になっていることを考えれば立派な成績といえる。通年騎乗するようになった2015年以降の成績を以下のグラフに示す。

クリストフ・ルメール騎手・単勝1倍台時の成績(2015年~2023年6月末現在)

注目すべきは今年の成績で、6月末現在、43戦30勝で勝率69.8%、単勝回収率112%を叩きだしている。この夏競馬は「クリストフに賭ける」のもアリかもしれない。

青函ステークス再び・・・

帰ってきた「青函ステークス」

6月24日の1回函館5日のメインで昨年に続いて「青函ステークス」が行われる。函館競馬のご当地レースとして1969年に創設され、1981年以降は芝1200mオープンとして定着していた特別競走だ。しかし、1997年に芝1000mに変更になり、1999年以降は中断されてしまった。2004年には芝1200mで復活したが、2年で中断され、2011年には準オープンの2000m戦に格下げされ実施されたが、以後また途絶えていた。

「青函ステークス」の変遷

そうしたさなか、「青函ステークス」の名の由来である青函連絡船青函トンネルへと変貌を遂げ、新幹線まで通ってしまった。そのせいか、「青函ステークス」のアイデンティティにゆらぎが出ていたことは間違いないだろう。

在りし日の青函連絡船(第二青函丸)

実はこの背景には、昔はオープン特別だった「UHB杯」と1997年から函館で行われるようになった芝1200m重賞「函館スプリントステークス」の存在がある。
由緒あるUHBの社杯である「UHB」杯は、2001年に芝1200mのオープン特別となり、「青函ステークス」の行われた2004年と2005年は1000万下に格下げ実施され、2006年からは再びオープン特別に復帰した。短い函館開催(今年は6週間、以前は8週間だった)で芝1200mオープン競走が3回は過多であるという判断によりこのような措置が取られたと思われるが、ファンから見れば混乱を招くだけなので避けてほしいものだ。(さらに事態を複雑にしているのが札幌で行われているオープン特別「UHB賞」だが、それについてはまた・・・)

「青函ステークス」の思い出

なにはともあれ、昨年に「青函ステークス」は芝1200mオープン特別として復活し、ことしも引き続き同条件で行われる。古くからのファンとしては、函館で「青函ステークス」が見られるのは良いものである。歴代の勝馬の中では、芝1800mの準オープン戦だった1978年の「メジロイーグル」は今でも記憶に残っている。稀代の逃げ馬で皐月賞4着、ダービー5着ののち、「青函ステークス」を勝ち、秋には菊花賞トライアルの京都新聞杯でダービー馬「サクラショウリ」を下し、菊花賞有馬記念をともに3着と惜しくも大レースは勝てなかったが、その小柄な馬体から繰り出すけれんみのない逃げは、多くのファンを魅了した。引退後、メジロ牧場種牡馬となり宝塚記念有馬記念を勝った「メジロパーマー」を出し、メジロステイヤーの血を後世に伝えた。

今年の「青函ステークス」
出走馬を見渡すと、思い切って逃げそうなのは牝馬の「マウンテンムスメ」あたりか?鮮やかな逃げで「メジロイーグル」を彷彿とさせてほしいものである。

 

トリガミなんて怖くない!?

確信犯的トリガミとは?

CS放送で繰り返し放映されている競馬番組に「競馬バトルロイヤル」というシリーズものがある。競馬業界の様々な立ち位置の人々が繰り広げる馬券ファイトはとても興味深い。
この種の馬券勝負の番組は多く、さまざまな勝負が繰り広げられているが、先日その番組で前代未聞の珍現象が起きていた。12レース中なんと11レースを的中させながら収支は大幅赤字で敗北という、なんとも不思議な顛末だ。
この「確信犯的トリガミ」と言うべき現象は、4~5頭を対象に単勝複勝から始まって、馬連馬単、3連複、3連単などのボックスを少額購入するいわゆる「乱れ打ち」スタイルの結果であった。
複勝5点買いなど、普通こういう買い方はしないと思われるが、本人は「当てること」を目標とのことで番組の趣旨からすると異例だが、制作側に何らかの意図があったのかもしれない。

すぐそこにあるトリガミ

人はなぜトリガミ馬券を買うのか?代表的な心理は「外したくない」で、資金配分的にトリガミになっても「損を少なくできれば良し」と考えるからだろう。明らかに守りの姿勢で、狙いの本線が当たった場合の機会損失よりも狙いが少しはずれた場合の補償を重視する考え方である。
ギャンブルである以上「常に攻めの姿勢だけでは勝てず、臨機応変に守ることも必要である」という考え方にも一理あるだろう。
確かに戦いを避けることができないならばその通りだ。しかし競馬の場合、毎レース馬券を買わなければならないわけではない。特殊な状況を除いて、いわゆる「見」が許されている場合、「見」は「トリガミ」に勝るのである。
個人の経験的には、トリガミ馬券を買いたくなるレースは見したほうが馬券収支は向上する、と感じている。

馬券の種類によるトリガミ

よく、「プロは単勝で勝負する」などと言われることがあるが、その真偽はさておいて、単勝1点勝負であればトリガミは起こりようもない。ただ、単勝ではオッズが低いので、頭から馬単流しで勝負することもあるだろう。事象的に「単勝」と「馬単2着総流し」は等価だが、馬券収支的には対極にある。
馬単の場合、相手を絞れば「抜け」が生じるし、総流しすればトリガミの可能性が出てくる。具体的には、18頭立てで総流しの場合、馬単17通りを買うことになるが、均等買いではオッズ17倍以下の買い目はトリガミになる。

以下のグラフは、単勝オッズ別の単勝(青)、馬単頭固定2着総流し均等買い(赤)および馬単頭固定2着1~3番人気流し均等買い(灰)である。JRAの払戻率は、単勝80%、馬単75%なので単勝が有利なのは明らかだが、馬単でも総流しと1~3番人気流しの差が大きいことに気が付くだろう。(サンプル数:約7万レース)

単勝オッズ別に単勝回収率と馬単回収率を棒グラフ化

単勝オッズ別回収率(JRA2013年~2023年)


払戻率5%の差は大きく、馬単、特に人気薄を絡めた馬単などは、単勝を買った場合に比べて回収率では相当な不利になることがグラフからもはっきりと現れている。

結局、最も理にかなった馬券は、トリガミを気にして資金配分に悩むことも無く、回収率も良い「単勝」と言えるのではないだろうか?