史上最高額の枠連配当を演出!張り切りすぎたムサシとは・・・

良馬場でも荒れる!?

7月9日の競馬は、この時期には珍しく函館・福島は良馬場で、若干の降雨があった中京は稍重馬場で行われた。
この日も函館で3鞍、福島で4鞍の単勝1倍台の大本命馬が登場した。しかしその結果は対照的で、函館では3鞍とも大本命馬が勝利したが、福島ではなんと全敗するという衝撃の結果が・・・

大本命馬(単勝1倍台)の競走結果

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【2回福島4日1R 障害未勝利】アイスジャイアント 1.6倍 3着 [初コース][前走2着][休養明け]
【2回福島4日4R 3歳未勝利】ベルウッドムサシ 1.9倍 3着 [初コース]
【2回福島4日6R 2歳新馬】ガラクシア 1.5倍 2着 [初騎乗][初コース]
【2回福島4日10R 天の川賞】ハッスルダンク 1.7倍 6着 [昇級][休養明け]
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【2回函館4日2R 3歳未勝利】ヴァンナチュール 1.2倍 1着 [前走2着][中1週][乗替][初騎乗]
【2回函館4日5R 2歳新馬】レガレイラ 1.4倍 1着 [初騎乗][初コース]
【2回函館4日8R 3歳1勝クラス】イトカワサクラ 1.9倍 1着 [乗替][初騎乗][初コース][休養明け]
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以下で、各鞍の大本命馬敗因について詳しく解説する。

バンケットは疲れる・・・

福島1Rの障害戦の大本命馬アイスジャイアントは、新馬勝ちし、2戦目に「JBC2歳優駿」を楽勝した素質馬。その後の成績が振るわず、障害入りしたが、初障害の前走を2着し、地力から単勝1.6倍の大本命に推された。

調教も良く、馬体重は前走より-6Kgと絞れ、パドックでも落ち着いていたので臨戦過程に問題は無かった。

レースでは、好位を追走したが3角で鞭が入り、追い上げたが勝馬から1.2秒差の3着に終わった。

飛越もうまいとは言えず、500Kgを超える馬格からバンケットも堪えそうで、単勝1.6倍は過大評価だった可能性が高い。ただし、根性はありそうなので次走以後に期待したい。

ひさしぶりだし、暑かったし

福島4Rの3歳未勝利戦は、ベルウッドムサシが単勝1.9倍の大本命に推された。締切20分前までは1.7倍のオッズだったが、直前に大きく売上比率を下げていた。

その原因は、2人引きで鶴首になり、激しく発汗が見られたパドックにあった。トウスポには「追い切り軽めも不安なし」とあったが、前々走までは使用していた美浦の坂路が使えなくなり、中間ウッドでの追い切り2本のみの臨戦過程でイレコミを招いた可能性が高い。

レース結果は中団追走で差を詰めて3着だったが「行った行った」の決着で勝馬単勝は300倍を超え、枠連は史上最高配当を記録するという大波乱の原動力になってしまった。リスク管理の観点からは典型的な「危険な大本命馬」だったと言える。

妹はやんちゃ姫

福島6Rは、日経新春杯を勝ったモズベッロの妹で仕上がり良さそうなガラクシアが1.5倍の人気を集めた2歳新馬戦。

抜群のスタートから先手を取り、内から先行するニシノオウジョの外を番手で追走し直線へ。ニシノオウジョを交わして先頭に立つと、外に逃げる仕草。斎藤新騎手が必死で修正しようとするがどんどん外へ逃避してまともに追えず。結局、ラチ沿いを進んだニシノオウジョに差し返されて2着に敗れる。

新馬戦だけに、「姫のやんちゃにはかなわないなあ」と笑うしかない。

3歳馬ブランド?

福島10Rの天の川賞では唯一の3歳馬ハッスルダンクが断然の1番人気になった。最終的には1.7倍になったが直前まで単勝1.6倍=得票率50%という支持を集めていた。

昇級戦、初コース、休み明けなどの悪条件を乗り越えてこれだけの支持を集めたのは、未勝利、1勝クラスを楽に連勝してきた3歳馬というブランド的評価が大きかったと思う。

下級条件で楽勝していた昇級馬がクラスの壁で惨敗するケースはこれまでも多く見られてきた。また、3歳馬ブランドも2勝クラスになるとやや効果が薄れることは間違いない。そんな過酷な昇級戦で過剰に期待を背負った若駒が先輩の洗礼を受けた、ということだろう。