やっぱり出現した「ChatGPTを使った競馬攻略法」

生成AIのブームに乗って

キンドルで読める「競馬+ChatGPT」本をひとつ紹介する。

”本書「勝利する馬のためのAI活用:包括的ガイド」では、このテーマについて徹底的に探求し、AIを予測にどのように適用できるか、関与するさまざまな技術、そして途中で現れる倫理的考慮事項について明らかにします。”(出典:AI競馬予想研究会. 勝利する馬へのAI活用ガイド:ChatGPTを使った競馬攻略法.Kindle版) 

以前試しにBingの生成AIチャットで馬券がらみの専門的な質問をしてみたが、どこかのサイトの不正確な情報を返してくるだけで、競馬情報はデータベースとして持っていないことは明らかだった。そんな経験からこの本に興味を持ったわけだが、「倫理的考慮事項」って何?

競馬における倫理とは?

”競馬におけるAIの利用が進化し続ける中、倫理的な意味合いや課題が発生する可能性があることを考慮することが極めて重要です。”
(出典:同上)

具体的には「データのプライバシー」や「特定の馬や調教師を不当に有利にするためのAIの使用に関する懸念」とのことだが、全く何を言っているのやら、「AIは万能」なのか?

この本の成り立ち

キンドルのレビューにも書かれていたが、「ChatGPTを使った競馬攻略法」とは実は「ChatGPTを使って書かれた競馬攻略法」が正しい。

他にも突っ込みどころ満載で「生成AI」の特徴である「・・・ができます」の羅列が極端。これを書いた(コピペした)人間は既に電脳化されているようだ。

KindleUnlimitedのメンバーシップがあれば無料で読めるが、競馬的に得るものは何もないことは保証しておく。

競馬予想におけるAIの限界

仮にJRA-VANの提供する競馬データベースを生成AIが利用できるようになっても、そこにあるデータだけでは勝てる予想は難しい。なぜなら、JRAの発表しているタイムは全て0.1秒単位であり、競走馬の速度で換算すると1.8mほどの誤差があるから。きわどい写真判定では10cm程度のハナ差で勝敗が決することも多く、さまざまな補正を入れたとしても誤差が決定的に大きすぎるため、精度は上がらないのである。

AIがレース映像とパトロールビデオを解析するレベルになれば、勝てる予想ができるようになるかもしれないが、演算コストも膨大になるだろう。というわけで、当面我々は「AIに搾取される負け組」になる心配はしなくてもいいのかもしれない。