ダミアン、おまえもか!

今年の日本ダービーをタスティエーラで優勝し、2019年のサートゥルナーリアの無念を晴らしたダミアン・レーン騎手が2024年6月13日までの1年間短期免許の交付はされないことがJRAから発表された。

何故か?先月のヴィクトリアマイルでソダシで発馬後斜行し、制裁(4点)を受けた件は割と話題になったので「それか!」と思った方も多いだろう。

しかし実際は累積制裁点という制度で、彼の場合は4/23東京8Rダイバリオン:ムチ(1点)、5/6東京7Rアルナージェイン:ムチ(2点)、5/7東京3Rアヴィオンドール:直線斜行(4点)、5/14東京11Rソダシ:発馬斜行(4点)、5/20東京5Rコスタレイ:ムチ(3点)、5/20東京7Rコントディヴェール:決勝線斜行(1点)、東京12Rスノーフレース:ムチ(4点)、5/27東京10Rカナテープ:ムチ(5点)とここまでで制裁点の合計は24点。再教育の基準31点まで後7点という状況だった。

この追い詰められた状況で、ダミアン・レーン騎手は日本ダービーに騎乗し、見事勝利したわけだが、短期免許の最終週の6/10東京4Rイッツオンリーユー:ムチ(8点)と痛恨の8点制裁を受け、来季の短期免許の取得が不可になってしまった。

外国人騎手にとっては、賞金制度の手厚いJRAでの騎乗機会を失うことは日本ダービーの進上金を帳消しにするほどの痛手となったはずだ。

斜行に関しては、不可抗力の場合もあるが、ムチの使用過多は100%騎手の責任であり、動物愛護の観点からも避けなければならないことは自明だろう。

諸外国においても、ムチの使用可能回数はフランスでは1レースで5回まで、米国ケンタッキー州では6回までで連打は2回だけ、ケンタッキーダービーに参戦したクリストフ・ルメール騎手が制裁を受けたことは承知の通り。

jra.jp

このような諸外国の状況に対して、JRAは昨年まで連続10回まで認められていたムチの使用を今年から連続5回までに制限することにした。比較的制限の緩いオーストラリアで騎乗するダミアン・レーン騎手にとって、この制限強化は痛手だったことは想像に難くない。しかし、短期免許の期間中にムチ使用過多で6回の制裁を受けるということは通常考えにくく、重い処分もやむなしであり、本人の自戒が強く望まれる。

回数の問題はさておき、ルメール騎手やダミアン騎手のレベルになるとムチを使用しても馬を追う姿勢に乱れは少ない。しかしなかには、追わずに直立したままムチを入れる騎手もいて、馬は伸びずに下がっていく姿を見るとまことに情けない。

ムチを使うよりも人馬一体で追う姿を見せて欲しいと願うのは私だけだろうか?